病んだら酸ヶ湯に行け!

2025年6月、私は青森県にある酸ヶ湯温泉で、4泊5日の一人湯治をしました。

その年の1月、私に整体を教えてくれた師匠が亡くなりました。

もちろん、大切な人がいなくなってしまったこと自体が悲しかった。

でも、それとは別に、

「師匠がいなくなったのに、私はまだ整体をするの?」

という疑問が、ずっと頭の中にありました。

そもそも私は整体師に向いているんだろうか。

このまま続けていいんだろうか。

もし全く違う仕事を始めるなら、20代の今がタイムリミットなんじゃないか。

毎日のように将来を悲観して、答えの出ないことをぐるぐる考えていました。

「湯治、いいよ」

そんな頃、上司から「湯治っていいよ」と勧められました。

湯治ってどこでするんだろう?と調べてみると、青森に「酸ヶ湯温泉」という有名な湯治場があることを知りました。

ちょうど青森へ行く機会があった私は、

「じゃあ、行ってみるか」

くらいの気持ちで、4泊5日の一人湯治をすることにしました。

事前に「水曜どうでしょう」の酸ヶ湯体験記までYouTubeで見て、予習もばっちり。

いざ、酸ヶ湯へ。

酸ヶ湯といえば、有名なのが「ヒバ千人風呂」。

実際に入ってみると、これがなかなか面白い。

女性専用の時間になると、巨大なお風呂がなんだか女子校みたいな雰囲気になる。

ところが混浴の時間になると、同じお風呂なのに急に厳かな空気になる(笑)。

私はかなりの夜型なので、深夜2時、3時くらいにお風呂へ行くこともありました。

そうすると、あの巨大な千人風呂に誰もいない。

千人風呂を一人占めです。

あれは本当に贅沢でした。

湯治棟では自炊もできるのですが、私は面倒だったので食事は食堂でお願いしていました。

長期滞在している方も多く、20代の女性が一人で何日も滞在しているのは少し珍しかったのかもしれません。

滞在しているうちに、ほかの一人客女性が挨拶してくれるようになったり。

温泉に入って、ご飯を食べて、散歩する。

酸ヶ湯の近くにある「地獄沼」まで歩いて、ぼーっと眺める。

名前はなかなか物騒ですが、私はこの場所がとても好きでした。

そして宿に戻って、また温泉に入る。

普段とはまったく違う時間が流れていました。

酸ヶ湯で出会った看護師さん

酸ヶ湯には、看護師さんのいるお部屋がありました。健康相談やストレスチェックをしてくれます。

そこで私は、自分のことをいろいろと話しました。

その看護師さん自身も、若い頃に青森から東京へ出て、いろいろな苦労を経験された方でした。そして青森へ戻ってきたのだそうです。

当時の私は、

「これから何の仕事をするんだろう」

「整体を続けるんだろうか」

と、まだ起きてもいない未来のことで頭がいっぱい。

そんな私の目の前に、青森から東京へ出て、いろいろなことを経験して、そしてまた青森へ帰ってきた人がいる。

人生って、自分が20代で想像しているほど一直線には進まないのかもしれないな、と思いました。

「温泉も、良くも悪くも刺激物なのよ」

看護師さんから聞いた話で、もう一つ印象に残っているものがあります。

「温泉も、良くも悪くも身体にとっては刺激物なのよ」という話です。

たくさん摂れば摂るほど身体にいいというものではない。

特に酸ヶ湯のような刺激の強い温泉では、日々の生活で鈍っている身体にドンッ!と刺激を与えることで、

人間が本来持っている自然治癒力を引き出していく。そんな考え方を教えてもらいました。

「温泉なんだから、入れば入るほど身体にいいんでしょ」くらいに思っていた私には、とても面白い話でした。

そして、その看護師さんから教えてもらったお気に入りの入り方が、

夜中にトイレで目が覚めたら、そのまま千人風呂へ行く→「熱の湯」に1分くらい入る→そのまま布団に戻ってまた眠る。

というもの。

これは酸ヶ湯公式の入浴法というわけではなく、あくまで私が現地で出会った看護師さんから聞いたお話です。

地球に抱きしめてもらう

そして、一番覚えているのがこの話です。

大きな温泉に浸かったら、胸の前で両腕を交差させて、自分を抱きしめるような格好をしてみる。

そうすると、「地球に抱きしめられているような気持ちになるよ」と教えてもらいました。

感性豊かでチャーミングな看護師さんです♪

こんな日々を4泊5日過ごしました。

別に、人生の答えが降ってきたわけではありません。

「私は一生整体師として生きていく!」なんて決意をしたわけでもありません。

でも、なんだか、「まあ、なるようになるか」と思えました。

そして一年後には、整体院をつくっていました。

酸ヶ湯から帰ってきたあとも、私は普通に悩みました。

今も将来のことを考えて、不安になることもあります。

でも以前よりは、「まあ、なるようになるか」と思える瞬間が増えました。

人生についていくら考えても、未来のことなんて結局わかりません。

今すぐ答えを出さなくても、一年後には自分でも予想していなかった場所に立っていることもある。

だから、もし考えても答えの出ないことで頭がいっぱいになったら。

一回、日常から離れてみるのもいいかもしれません。

温泉に入って、ご飯を食べて、眠る。

起きたら、また温泉に入る。

それくらいしかすることがない場所で、何日か過ごしてみる。

人生の答えは見つからないかもしれません。

でも、「まあ、なるようになるか」くらいには思えるかもしれない。

病んだら酸ヶ湯に行け。

※この記事は私個人の湯治体験について書いたものです。温泉の入り方や身体についての記述には、現地で私が聞いたお話も含まれています。温泉療養や入浴については、施設の案内や医師等の専門家の指示に従ってください。

P.S.

酸ヶ湯には「酸ヶ湯」という名前の日本酒も売っています。

これが、めーっちゃくちゃ美味しいです。お酒が飲めない人は八甲田のお水やコーヒーがおすすめです。

八甲田の水を飲み、温泉に入り、夜は酸ヶ湯の日本酒を飲む。

人生について考えに行ったはずなのに、結局いちばん覚えているのは「水と酒がうまい」だったりします。

当時を体験した私が営む 気功整体みらりは、神奈川県茅ケ崎市にあります。

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